改めて岩室講演
岩室先生のお話について、改めてきちんと記しておきます。
というか、研究会の広報に報告文をまとめたので、少しアレンジしてこっちにも載せておきます。
性教育バッシングの続く中で、学校で性教育を行うことが難しくなっている。だからというだけではないが、学校以外のところでも、性について語ったり、性の支援を充実させること、そうした子ども達の性を育むネットワークを地域に作り上げることこそ、今日の性教育の課題ともいえるだろう。
岩室先生には「性教育&サポートの地域ネットワーク」というテーマでお話を頂いた。たくさんのPowerPointを使い、盛りだくさんの内容の講演であったが、中に重要ないくつかのメッセージがこめられていた。
1.自分を語る
先のパネルディスカッションでも若者代表のパネラーの清水さんより「(性を)いろんな切り口で語っていきたい」と話があった。そのことに関連して、語るということについて話をされた。
性をはじめとして若者の様々な行動について問題が指摘されるが、子ども達は大人の背中を見て育つ、私たちは子ども達に何をどんなふうに語っているだろうか。自分が経験した事実を語ることこそ、子ども達の心に響く(届く)メッセージになる。事実が語られる、自分を語るということを大人はどれだけしているだろうと、まず問題提起された。
性感染症は男性では50代、女性では10・20代の若者に多い。50代の男性の感染の多くは多数相手によるものだろう。しかし女性に関しては、ステディな相手とのセックスで感染している。感染症の予防法どころか、妊娠したら生理が止まるということすら知らず、自分の妊娠に気付けない若者がいるという現実がある。これほど大切なことを大人がきちんと自分の言葉で語って伝えきれていないことを示しているとはも考えられる。
一方で、一生セックスしないという人も増えている。童貞連合を紹介した新聞記事からは、自分でデートの中身を決められない若者の姿が伺える。彼らは極端な例かもしれないが、私がこうしたい、私がこう思ったというメッセージを伝えることができない日本人の如何に多いことか。そしてこれは若者だけに限ったことではない。こうした現象は自分を語ることができない大人の背中を見て育った結果として受けとめなければいけないだろう。
2.性感染症の拡大は関係性の喪失にある
性感染症の拡大は、性の知識不足だけなのだろうか。「今日の感染症予防の課題は関係性の喪失であり、目標は関係性の再構築であり、その対応策はコミュニケーション能力の再開発である」というのは、感染症学会の会長の言葉である。
教育によって知識を身につけることと共に対話によって関係性を築く、築けること、その両方がそろって初めて生きる力が育まれる。
こころの問題も性の問題も薬物の問題も基盤に関係性の喪失があるといえるだろう。
3.環境を構成する
大人になることとはストレスと向き合えること、ストレスを享有できるようになることである。
しかし、現代の若者は悩まない。人間は落ち着いた環境の中で初めて悩むことができる。荒れた生活の中では、考えることはできない。その点で今の時代は環境の障害期であると話された。人間らしく生きていくためには想像力が重要だが、私たちは誰のおかげで想像力が身に付いているのだろう。人とつながっていること、つながりあうことで想像力は育まれる。まずは人とつながりあえる環境をつくることが必要だ。しかし多様な立場、考えがある中で、全部が一緒になることは難しいし、一緒になってしまうことで不都合が生じることもある。互いを批判するのではなく、違いを知り、それぞれの立場から「私はこれがいい」と主張しながら、できるところでつながっていく、そういう連携をめざしていきたいものだ。
以上が岩室講演の概略でした。
PowerPointのいくつかは岩室氏のHPにて情報公開されているのでご覧ください。
岩室紳也さんのHPはこちら(再掲デス)
http://homepage2.nifty.com/iwamuro/
個人的感想
関係性が感染症予防に役立つという発想は、一見奇想天外な発想のようだが、性感染症の予防教育をすすめる立場で若者の性行動を捉えてる私からすれば、とても共感できる話だった。ただ若者のコミュニケーションについては現象をもう少し具体的に捉えなおすことが必要だと私自身は思っている。
番外編
感想文をまとめて岩室氏にメール送信したら、こんなお返事が…
「いろんな受け止め方をしていただいたようですね。
でもちょっと気になったのが多くの方が「スローガン」のような感想を述べられていることでした(笑)。やはり、自分を語り続けたいですね。」とのこと。(無断転載です、岩室さんごめんなさい)
正直言うと、私自身、内容が盛りだくさん過ぎて、消化しきれなかった部分もあり、研究会の広報に載せる報告を書くのにもとても苦労した。
きっと、みんなの感想がスローガン的だったのもそのせいじゃないかなぁと思う…。
でもおそらく、それぞれの心にはメッセージは伝わってるはずなので、ご心配なく!!
こちらの本もお薦めします。(そのうちレビューします)
「いいじゃない いいんだよ 大人になりたくない君へ」
ISBNコード4-06-213133-9
講演当日、30冊完売し、私は後日、本屋さんで購入しました。
「LOVE・ラブ・えっち 知っているようで知らない安全な"Hのこと"オシエマス Q&A」
ISBNコード4-8327-0247-9
保健室に置いていたら、早速生徒が手にとって読んでます。人気の本です。
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